Power over Ethernet (PoE)に関する大いなる誤解

屋外用IP監視カメラを新設しようと考えていてどの機種にしようかといろいろ悩んだのだが、その過程で自分がPower over EthernetことPoEに関して大いに誤解していたことが、多大なる時間を浪費する結果を引き起こしてしまった。最初に、一度でもきちんと英語版WikipediaのPoEの項を最初から最後まで目を通していれば回避できた誤解だったが(全般的に日本語版は情報が不十分)、流し読みしかしなかったため、なかなか気づかなかった。

PoEイジェクタを使ってIPカメラに電源を供給するの図---*誤りあり*

PoEイジェクタを使ってIPカメラに電源を供給するの図—誤りあり

以下、HikvisionのDS-2CD2532-ISWを前提に説明する。

直接カメラに電源を供給する際はDC 12Vが要求されているので、PoEインジェクタに供給すべき電圧もDC 12Vだと思い込んでしまった。右の図は交渉していたAliexpress.comのセラーに自分の言いたいことを伝えるために描いた図であるが、ここでも誤ってPoEインジェクタに供給すべき電圧がDC 12Vだとしてしまっている(図右下)。

しかし、PoEの規格IEEE 802.3afで要求しているのは(典型的には)48Vなのである。なので、図にあるようなDC 12V出力のAC/DCアダプタから電源を供給しても、PoEとしては動作しない…いや、正確にはIEEE 802.3afの規格には準拠せず、それを期待するPD (Powered Device)を駆動することはできない。HikvisionのDS-2CD2532-ISWはそういうPDなので、こういう形でUTPケーブル経由で電源を供給したところで、駆動できない。

問題の根源は、自分が「PoE=IEEE802.3afないしIEEE802.3at準拠」だと思い込んでいたところにある。これは誤りで、”PoE”製品と謳っていても、IEEE802.3afにもIEEE802.3atにも準拠していない製品がある。これになかなか気付かなかった。

英語版WikipediaのPoEのページには、”Non-Standard Implementations“という項があり、いくつか種類が列挙されているが、その中で我々非業界人が一番目にしそうなのはpassiveと形容されている製品群だろう。IEEE802.3af/IEEE802.3at準拠のPSE (Power Source Equipment)PD (Powered Device)間では、power-up時にネゴシエーションが行われ、誤って非PoE対応のPDが繋がれてしまった場合の保護であるとか、供給電力の制限などが行われる。”Passive”デバイス間ではこのようなネゴシエーションは行われず、入力された電力がそのままUTPケーブルに流される。したがって、PDの仕様に合わない電流が流された結果PDが壊れる可能性はある。

新設予定の屋外用IP監視カメラに対する要件“で、「スプリッターとインジェクターがペアになったものが数米ドルで手に入るようだから」と書いたが、実はこれらはその”passive”デバイスに当たる。これらPoE injector/splitterをペアで使う限り、injectorに入力された電力がそのままsplitter側に出力されるので、仮にそれが48Vでなくても、splitter側で使いたい電圧・電流が得られるようにしていれば、これはこれで使いようがある。上の自分の図の場合でも、DS-2CD2532-ISWは12VDCの入力端子もあるので、injectorだけではなく、splitterも併用し、splitterで得られる12V電力をカメラに供給してやれば原理的にはカメラを動作させることができるはずだ(ただし、UTPケーブルで電送する間に電力が損失することは考慮しないといけない)。

こういった話を理解するのに役に立ったのが”different POE voltages, how does POE work?“だった。自分同様混乱した人に対する解説がある。中でも以下の投稿が端的に説明している:

What is confusing are devices that spec  “12v dc, 24vac, PoE” – this means the camera uses 12v when powered from a transformer, and 48v when powered via Ethernet.   Putting 12v via Passive POE will not work – but 48v via Passive POE does work.

わかったところで、ではどうするかだが、以下の3通りが考えられた:

  1. きちんとしたIEEE802.3afないしIEEE802.3at準拠のPoEスイッチを使う。
  2. Passive PoE injector/splitterと12V AC/DCアダプタを組み合わせる。
  3. 48VDC出力のpassive PoE injectorを使う。

機器の保護の観点からは1.が理想的ではあるが、何せ高くつく。2. と 3.はコスト的には大差ない。ただ、今回カメラは屋外に設置するので、コネクタ部は防水加工しなくてはならない。2.ではそれが3箇所になるのに対して、3.では1箇所で済むので、3.で行くことにした。

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以下、上記結論に至るまでに考慮した製品。


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