追記: “5GHz帯に対応していてブリッジ運用が可能な小型Wifiルータ” に頂いたコメントで “CHEAP WI-FI MESH ALTERNATIVE with fast roaming OpenWrt Wi-Fi Access points – YouTube” をご紹介いただいたので,いつか見てみたい。
「世の誤解を正す」とかいった生意気な意味ではなく,自分の誤解の話。
Wifiローミングがスムースに起こるためには,LAN内のアクセスポイント(以下AP)について以下が成立していなければならないと思っていた:
- SSIDが同じ
- 暗号化方式が同じ
周波数帯が同じ(2.4GHzか5GHzか)- チャンネルは異なってもよい(むしろ異なった方がよい)
しかし,以下を読むと,3.は要件ではないようだ。
- “Can a station roam seamlessly between 2.4Ghz and 5Ghz radios? – Super User“
- “How can I get the same SSID for multiple access points? – Super User” … 素人にもわかりやすいようよく書けてる
- “Recommended settings for Wi-Fi routers and access points – Apple Support“
3. が要件であるという前提で “5GHz帯に対応していてブリッジ運用が可能な小型Wifiルータ” を書いたのだが,少なくとも動機は誤っていたことになる。
上に列挙したリソースから自分にとって重要な情報をまとめると以下:
- SSIDを隠蔽する効果はなし( “Recommended settings for …” )ー プロのハッカーを相手にしたセキュリティー保全の観点からはそうなんだろうが,素人のご近所さんの目のことも考えるとそれなりに意味があるのでは,と思う。
- ローミングするAPを含むLAN内でNATは1台のみ,DHCPも1台のみ。通常は大元のルータが担当( “How can I get the same SSID…” )。
- ルータをAP/ブリッジとして使うにはNAT機能とDHCP機能を切る(〃)。
- DHCPのリース時間は8時間( “Recommended settings for …” )ー ホームLANではIPアドレス枯渇の心配がなければ,もっと長くても支障なかろうと個人的には思うが…。
- 2.4GHz帯ではチャンネル幅はスピードを犠牲にして20MHz (HT20)にすることで,他の2.4GHzを使用するAPやBluetoothとの干渉を避ける( “How can I get the same SSID…” と “Recommended settings for …” )。
- WMM (Wifi MultiMedia)は使用( “Recommended settings for …” )(Atermブランドのルータで「TVモード」としているのはWMMのことのようだ)。
デュアルバンド(2.4GHzと5GHz)に対応したAPについて,SSIDをバンドごとに分けるか別にするかはどうも意見が一致していない模様。”Recommended settings for …” でAppleは一致させるべきだとしている。一方 “Wi-Fi Roaming Gotchas | Excentis” はクライアントは,AP側で band steering が行われない限り,一般的に電波強度の高くなる2.4GHz帯を選びがちなので,SSIDを共通にするのは避けるべし,としている。しかし, “Can a station roam seamlessly…” では,一致させてもクライアントは5GHz帯を優先して接続する,としている。
“How can I get the same SSID…” のベストアンサー中にある以下がキモなんだろう。
One roaming caveat: As another commenter pointed out, there are definitely poorly engineered clients out there with poor roaming algorithms or thresholds, which don’t actually roam when they should, and thus end up being too “sticky”, staying on the first AP they joined well after they could have been getting better performance and reliability with another AP that they are now closer to. Sometimes it helps to force the client’s Wi-Fi interface to rejoin the network when you notice that a client has stuck to the wrong AP. If you have a lot of these buggy clients, then using the same SSID for multiple APs might not work well for you; you might want to use different SSIDs so you can more easily monitor and control which AP your client is associated to.*
つまり,wifiローミングの成否はAPの設定や挙動だけでなく,クライアントの挙動にも依存する。クライアントの挙動が「どんくさく」,近くにAPが現れたのにいつまでも遠くで出力の低いAPとの接続を放棄しないような場合は,その挙動をモニターしやすいようSSIDを分けたほうがよい。この文章が2010年に最初に書かれ,最後に修正されたのが2013年であることを考えると,最近のクライアントであればそういった問題はないと考えてよいのではなかろうか。
結論としては,今後自宅LAN内のAPのSSIDは統一する。今までは,最初に購入したwifiルーターであるバッファローのWZR-HP-AG300Hのストックファームウェアで指定されていた2.4GHz帯向けのSSID(以下 “SSID-g” とする)とそれとは別の5GHz帯向けSSID(以下 “SSID-a” とする)をずるずると踏襲してきた。WZR-HP-AG300H自身のファームウェアはOpenWrtにその後置き換えられたのに,だ。
ただし一気に変えることはせず,順序を踏み徐々にその状態に持っていく。それについては別途記事を書く。
「Wifiローミングに関する誤解」への4件のフィードバック