“IFTTT、上位プラン「IFTTT Pro」の導入により無料プランに大幅な制限。実質的な有料化との声も【やじうまWatch】 – INTERNET Watch” にあるように,IFTTTが実質的に有料化された(~$10/月)。無料プランは残るが,それでは最大3個までしかアプレットが作成できない。無料でゴリゴリ使うことはもうできない。Proアカウントはこれから1年は料金割引があるようだが,その後~$10/月の出費が正当化できるほどには使うとも思えない。
IFTTTは今まで全然使ってなかったのだが今後各種自動化の核にしようと思っていた。なので、IoT機器やそのファームウェアを考える上でもIFTTTとの連携は選択基準になってた。 “Xiaomi Mi Flora Monitorを利用した自動化” でもそういう趣旨のことを書いたし, “「スマート」なコンセントやテーブルタップ” でも以下のようなことを考慮していた。
(TuyaのESP8266/ESP32を採用したスマート機器は)ファームウェアの書き換えはせず,IFTTTのような一般的クラウド自動化サービスと連携させることも可。今年はじめにTuyaのクラウドサービスSmart LifeとIFTTTとの連携の解消が一旦アナウンスされたが,その後回復された模様( “IFTTT resumes support for Tuya Smart Life and Wink, gains 22 other new services” )。
しかしそれがチャラ…。代替自動化システムには何があるだろうか。
2種類の自動化
ところで。「自動化」,「オートメーション」といっても大きく2種類ある。いわば「事務処理系」と「制御系」。前者は主にクラウドサービス間の連携,後者は物理的センサ,アクチュエータを交えた複合的モニタリングや制御,が主目的。
機能的に被る部分はあるのでクロスオーバーが大なり小なり起こる。例えばIFTTTのように、もともとは「事務処理系」だったと思われるものが、後に「制御系」の機能を併せ持つようになる、といったように。
しかし、「出自」が違うのでやはりこの2種は分けて扱ったほうがいいと個人的には思うのだが,「IFTTTの代替サービス◯選」みたいな記事ではこの2系統を区別していないことが多い。IFTTTのように主にクラウドサービス間の連携を実現するクラウドサービスと,Taskerのように主にデバイス上でのセンサー値・設定変更・アプリ間連携をデバイス内で実現するものを同列に扱うのは間違っているだろう。この記事では「事務所理系」のIFTTT代替サービスを調べてみる。
IFTTTのような「事務所理系」自動化サービスがスマホと連携するには,コンパニオンアプリのインストールが必要(IFTTの場合(Android))。ただし,Taskerのようにもともとスマホ上での「制御系」自動化を実現するものに比べると提供されている機能は大幅に限られている。
“Top 10 Zapier Alternatives to Automate Your Work (2020) | Beebom”
フリーミアム
IFTTTのライバルとして必ず上げられるZapier。連携サービス数は2,000を超え,「素人向けのIFTTT,玄人向けのZapier」といった対比もされるようだが,機能云々以前に無料アカウントでできることは極めて限られている上,一番安い有償プランが~$20/月(年払いで)では,お財布様が首を縦に振らない。
Integromatもよく取り上げられる(コンパニオンAndroidアプリ…機能は限られている)。フローブロック間で渡されるデータをわかりやすく見せてくれるのは好感が持てる(かつてのYahoo! Pipesのよう)。無料プランでは月1,000オペレーションまで。用途によってはあっという間に達してしまいそうだ。 “無料&IFTTTやZapierよりもウェブサービスの連携を作り込める「Integromat」レビュー – GIGAZINE” 参照。
Microsoft Flowだったんだが,Microsoft Power Automateに改名?…$15/月からとされてるが自分は1本flowを走らせてて課金はされたことがないと思うのだが…? “Microsoft Flow Alternatives and Similar Software – AlternativeTo.net” は “The free tier offers 750 runs per month, unlimited flow creation, 15-minute checks.” としている。
Zoho Flow ー 完全に「事務所理系」でMQTTなどのサポートは皆無。”無料&連携サービス豊富なIFTTTやZapier代替のワークフロー自動化サービス「Zoho Flow」レビュー – GIGAZINE” によれば,「Zoho Flowの無料アカウントでは作成できるフローは5つ、フローの実行回数はひと月あたり100回まで。ポーリング間隔は15分」。 “無料&連携サービス豊富なIFTTTやZapier代替のワークフロー自動化サービス「Zoho Flow」レビュー – GIGAZINE” 参照。
Work Super Smart – Automate.io ー 有償プランはZapierよりお得らしいが,無料プランの制限がきついことは同様。
これから長く使っていくという観点からは,私的使用に限るなら,これらフリーミアムサービスはどれもあまりいい選択肢には思えない。商業的に使用するのなら費用が正当ができるであろうから話は別。
FOSS
FOSSのものは自前でホストしなくてはならないのため敷居が高い。また,上の商業サービスに比べて,連携サービス数が少ない傾向にある。
n8n.io – Free and Open Workflow Automation Tool
“無料でIFTTTやZapierっぽく全自動連携できる「n8n」を自サーバー上に構築してみた – GIGAZINE“…連携サービス数は商用システムに比べれば明らかに少ないが,ホストシステムのコマンドを起動できるので,直接連携をサポートしてないサービスのAPIをcurlで直接叩くことが可能。Line Messaging APIを利用する例あり。
huginn/huginn: Create agents that monitor and act on your behalf. Your agents are standing by! ー ともかくとっつきにくい。
あと,Node-REDは “a programming tool for wiring together hardware devices, APIs and online services in new and interesting way” ということなので,そもそも「事務所理系」と「制御系」のどちらにも対応できることを目指しているのかもしれない。多数のカスタムnodes/flows/collectionsがあるが,必要なものが見つかるか。 “Google” で検索してみるとGoogleの事務所理系サービスとの連携は手薄?パッと見,Tuya機器向けのもの,Sonoff機器向けのもの,Xiaomi機器向けのものがあるにはある(精査してない)。Node-REDをOracleの無料VPSサービスにインストールして使ってみることにした。
余談: node-red-contrib-iotflows (node)があったのだが,何をするものか悩んだ。IoTFlowsというIoTコントロールシステムがある。操作者の役割分けがしっかりしているところを見ると,大規模な組織(会社やその部署)単位で操作することを想定している模様。MQTTによるコミュニケーションをベースにしている。Raspberry Pi上で走らせることを前提にしているOSを用意しているが,それを使わずともMQTTクライアントであればIoTFlowsにはMQTTでデータを送れる。node-red-contrib-iotflows (node)はどうも,Node-REDでIoTFlowsとデータのやり取りをするもののようだが,突き詰めると,それはMQTTブローカとのやり取り。だったら一般MQTTブローカとのやりとりと何が違うの,という話になるが,MQTT本体にないアクセスコントロール機能を追加しているのかもしれない(未確認)。
これ以外に,Huginnの作者等による “Similar or Complimentary to Huginn · huginn/huginn Wiki” が参考になる。
ちなみに,WindowsにはEventGhost: Automation made simple.が以前から。深く調べてないが,一般的PC使用というよりも,メディアプレーヤーとして使用するときや,ゲームをするときに使うことを前提にしているような印象。
以上ビジュアルな編集ができるものをに限ってきたが,Googleのサービスを利用するのなら,Google Apps Script (GAS)がよいのかも。クオータ。
“Google Apps Script は何が強くてどんなときに使うべきか自分なりのプラクティスをまとめてみた | by tanabee | google-cloud-jp | Medium”
結局,仕事の方で必要になりそうな事務処理の自動化をやるんであれば,n8n.ioかNode-REDで簡単に実現できそうならそれ(自分でホストする手間がペイしそうなら),そうでなければGASで頑張る,かな。Node-REDは制御系の自動化にも使えるからその点でn8n.ioより良いか。
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