先日AuにMNPでポート・インした回線が2回線ある。これらは基本寝かせることにしたが何か有効利用の方法がないかと軽く考えたのが運の尽きで、結構はまってしまった。
AuのSIMカードが3G用のとLTE用のとで互換性がないことは知っていた。つまり、3G用SIMカードはLTE端末に挿しても認識しないし、LTE用SIMカードは3G用端末に挿しても認識しない。
AuがVoLTEサービスを開始していたことも知っていた。そして今回購入したiPhone 6はVoLTEに対応していることも知っていた。だが、それは端末側・基地局側の処理の問題であってVoLTE対応・非対応でSIMカードに違いがあろうなどとはかけらも思わなかった。しかしそれは実は誤りで”Always 4G LTEとau VoLTEで新しいステージへ進む、auの2014年冬モデル“にはこうある:
ただ、ひとつ注意しなければならないのはSIMカードの仕様で、au VoLTE対応モデルで利用するSIMカード(au ICカード)は接続情報などを記録する関係上、専用のSIMカードになるため、au VoLTE対応の2機種に他のSIMカードを挿してもSIMカードとして認識せず、au VoLTE対応機種で利用するSIMカードを既存のauスマートフォンに挿しても同様にSIMカードとして認識しない仕様となっている。旧機種などを併用したいユーザーは、機種変更時に注意した方がいいだろう。
これには驚いた。しかし、さらに驚いたことがあった。
AuのMVNOであるmineoはVoLTE対応のSIMカードも提供している。ではそのSIMカードをVoLTE対応Au純正端末に挿せば使えるかというと、なんとこれが使えなく、端末のSIMロック解除の手続きが必要だという。ドコモのMVNOから入手したLTE対応のSIMカードなら、ドコモの純正LTE端末に挿せば使えることを考えるとこれはにわかには信じがたい(データ通信するならAPNの設定が必要だが、音声通信だけなら特に設定はいらない)。さらにいうなら、LTEに対応していないWCDMA/UMTS端末であってもドコモバンドに対応したSIMフリーであればそういった端末でも使える。”Nexus端末のSIMロックやmineoのVoLTE SIM互換性問題で思うこと“、”ドコモは7月に変更!SIMロック解除、3キャリアの条件“によればより条件の厳しい他キャリアと異なり、Auの場合は中古端末であってもSIMロック解除に応じるところがまだ救いだが。そんなこともあって、au向けの中古スマホ、VoLTE非対応モデルが売れるという奇妙な現象も起きていたようだ。
いずれにせよ自分自身はAuのMVNOを利用する予定は現時点ではないので、今のところ対岸の火事。ところが、今回のiPhone 6に入っていたSIMカードについてさらに驚きがあった。
“au ICカード“によれば、Auの純正端末でもiPhoneシリーズだけが特例で、今回のiPhone 6のようにVoLTE対応端末であっても、VoLTE用SIMカードではなく、非VoLTE対応機種用「au Nano IC Card (4G LTE)」が使われるという(上記記事では最新のiPhone 6s/6s Plusについては記載がないが、”au iPhone 6sは440-50でまさかの3G(1x/EV-DO)対応“によればそれらも同様と思われる。ちなみに44050, 44051等のPLMN(network operator?)コードについては”日本のPLMNリスト“)。物理的特徴は「端子面の裏はauの現行ロゴと、⑥が書かれている」ということだが、手持ちのSIMカードを見てみると確かにそうなっている(写真)。ちなみにiPhone以外のVoLTE対応機種用のSIMカード「au Nano IC Card 04(VoLTE)」は「色はグレーで端子面の裏にauの現行ロゴと、⑨が書かれている」だそう。「⑥」と「⑨」って紛らわしいよ…。
ではAu側では、「au Nano IC Card (4G LTE)」が挿入されている端末が非VoLTE対応機種か、VoLTEに対応したiPhoneかをどのように区別しているのかが疑問になる。”iPhone | au VoLTE(ボルテ) | au“には以下のような記載がある:
SIMフリーiPhone 6 / iPhone 6 Plus / iPhone 6s / iPhone 6s Plusでauをご利用のお客さまへ
SIMフリーiPhoneでauをご利用のお客さまはネットワーク設定オプション(無料)のお申し込みが必要です。
下記リンクからau IDでオプションサービス追加・変更画面にログインいただき、「ネットワーク設定オプション」を追加してください。
- ※iPhone 6s / iPhone 6s Plus / iPhone 6 / iPhone 6 Plusをau(auショップ、PiPit、量販店等)でご購入されたお客さまは、すでにネットワーク設定オプションは登録済みです。あらためてご登録の必要はございません。
Au側でそのSIMカードに紐付けられた回線に「ネットワーク設定オプション」がつけられているかで判断しているようだ。今回のiPhone 6に入ってきたSIMカードの回線にはこのオプションが最初からつけられてて、しかも外せない、ときた。
「ネットワーク設定オプション」がつけられていることによるマイナスの影響があるのではないか、と危惧されたが、とりあえず手持ちのAu版Galaxy S5 SCL23で試してみることにした。普段は小細工してドコモ対応にしてドコモ回線で使っている。VoLTEには対応していない。
結論から言うとできた。3Gデータ通信、LTEデータ通信、そして音声通話、SMSもできた。キャリアメールは試していない。もともとAuの端末だからAPNの設定などは特に必要なかった。”au SCL23 SAMSUNG Galaxy S5の SIMロックを解除する方法(au、ドコモ、ソフトバンク、Yモバイルの全てが使える神端末)“を見ながら、本来のAuの設定に戻したつもりだったが最初はなかなか安定しなかった。最終的には安定したが、ドコモ対応にするときにする、frequency lockをresetするおまじないが功を奏したのかもしれない。
決してそう意図したわけではなかったが、もともと寝かせることを考えていたAu回線を活かせる道が開けたことになる。今まで通りSCL23ではドコモ回線を使うので、他のAuのLTE対応でVoLTEには非対応の端末、ないしはLTE対応iPhoneでの利用となる。
また、Auにポートインする際、回線入手が目的で端末にこだわりがない場合、もしその回線を最終的に非VoLTE対応端末で使うつもりであれば、iPhoneを選択するのがよい、ということのようだ。逆にもしVoLTE対応Android端末・ガラケー(まだそういうのは出てないはずだがいずれ出てくるだろう)で使うつもりならば、iPhoneは避けたほうがいい、ということになる。もちろん事務手数料を払ってSIMカードを交換すればこのような場合にも対応できるが。
参考:
“auやmineoなどのSIMをSIMフリー端末に挿すとどうなる?CS/PS modeやUE’s usage Setting・SMSなどについて | Gadget and Radio“…少しだけより技術的な話。ときどき目にする”PS only”とかの意味がわかる。
auのガラケーの3GSIMをmicroSIMの大きさにカットして、3GとLTEの切り替えのできるauのXperiaZ1に差しても使えませんか?
ダメですね。3G/LTEの切り替えができる、は端末の通信電波の対応状況の話。SIMカードそのものがAuの場合3G用、LTE用(さらにVoLTE用)でハードウェア的に非互換なので、3G用をLTE対応端末に挿しても認識すらしません。
そうなんですか、3Gスマホで使用します。
ありがとうごさいました
え~と、Auはですね、3G端末ではえげつないL2ロックをしている端末があります。ガラケーはほぼ皆そうでしょう。比較的新しい一部スマホではL2ロックフリーのもあるんですが、そういうのでもなければ、事前のロッククリアが必要になりますよ。
返信ありがとうございます。
依然使ってたXperia acroHDはL2ロックがかかっていないと載っていたので大丈夫だと思います。
そうですね。それならば大丈夫でしょう。
こんにちは、はじめまして。とても詳しい記事の内容に感銘を受けつつ、勉強させてもらっています。さて当方、SCL23をSIMロック解除して使っています。これまで日本の3キャリア(D/A/S)に加え、アメリカ・スペイン・アルゼンチン・ブラジル・パラグアイ・ボリビア各国で現地のSIMカードを購入し、同機種にて問題なく使用してきました。ただ今回、日本にて au Gratina 4G のSIMカード(VoLTE・灰色⑨)を挿入して使おうとしたところ、一向に電波を掴んでくれません。yasurokさんのこちらの記事を参考にさせてもらい、Frequency Lock Reset や Service Mode での各種設定、その後、初期ROMに戻して同じこと・いろんなことしましたが、結局ダメでした。…もうauショップでのICカード交換しか無いのかなと半分諦めておりますが、最後の頼みの綱としてyasurokさんが何かヒントとなるアイデアをお持ちなのではないかと思い、こちらにコメントさせて頂きました。是非、何か思い当たる節がありましたら教えてください。。どうぞよろしくお願いします。
Auの公式SCL23のファームウェアではVoLTEに対応していてないのではありませんか?だとするとこの記事にあるように、Auがスマホ(iPhoneを除く)用VoLTE対応SIMカードと非対応SIMカードに互換性をもたせてないため、それでSCL23がVoLTE対応SIMカードを認識しないのではないかと想像されます。
とても詳しい説明でわかりやすいです。しかし、私の頭では多少フリーズ状態になりそうです。質問なのですが、iPhone6Sの場合、AU MVNOの2社で確認したところVOLTEマルチSlMはどちらもSIMロック解除が必要とのことでした。解除前のAU iPhone6SだとマイネオはVoLTE非対応のnanoSIMで動作確認が取れているというサポートの返答でした。しかし、UQではVoLTE非対応nanoSIMでは動作せず、SIMロック解除後にマルチSIMを使わなければ無理という返答でした。あとUQ版iPhone5Sは専用のSIMのようでそれも無理とのことです。これは何が違うのかご解説いただけないでしようか?私の希望としては、今すぐAU iPhone6SのSIMロック解除が出来ず、UQではどのSlMカードでも使うことができないとの返答なので現状マイネオしか選択肢がない?ようです。AU回線は複雑で情報が無くて困っております。
申し訳ないのですが、この記事を書いてからのAuのSIMカード状況はもとより、AuのMVNOのSIMカード状況も、まるで把握しておりません。お役に立てなくて残念です。