けちけちホームシアターシステムの構築法

ご注意:この記事はあたり前のことしか書いてないのでかなりつまらない。

父の残したアナログAV機器を最大限に利用してホームシアターを構築したい。ただし、ともかくケチりながら。

というのも最終的にはオール・デジタルで構成すべき。注意点を外さないようにやる限り(例えばHDCP 2.2について)その方がなにかにつけ楽。サラウンド・スピーカーが無線で鳴らせケーブルの取り回しが楽、など最近の技術ならではの利便性がある。ARC機能を利用し例えば以下の図のような感じで構成するのが典型的だろう。

デジタル機器のみで構成された典型的なホームシアターのセットアップ

図1: デジタル機器のみで構成された典型的なホームシアターのセットアップ

サンスイのアンプAU-α607DR

サンスイのアンプAU-α607DR

ただ、父が相当額つぎ込んだ機器があるのを完全に無にしてしまうのは、こんな親不孝な自分でも流石に気が引ける。しばらくはそれを有効活用してやりたい。あくまで場繋ぎという位置づけなので(もっともその「場繋ぎ」が往々にして十年単位になるんだが)、極力費用はかけたくない。

オーディオ出力は父の残したコテコテのアナログアンプ(サンスイのAU-α607DR…Googleで検索すると評判は悪くなさそう)を中心とする。光デジタル入力端子だなんてモダンな(?)ものは一切ない。だとするとデジタル・コンテンツを再生するにはどこかでD/Aコンバータが必ず必要になる。

サラウンド環境はきっぱり諦める。ならホームシアターと呼べじゃないじゃん、というご批判もあろうがそれでも実際ホームシアター的運用をするつもりなのでいいのだ(自己満足、ないし自己欺瞞)。実は、父はごっついAVアンプも持っており、生前「サラウンドもできるんや~」と自慢してた。しかしサラウンド・スピーカーは繋いでなかった…(この自己矛盾に全く気付いてないあたり、実に父らしい)。いずれにせよ、このAVアンプは所詮疑似サラウンドシステムなので今となっては意味がない。ちゃんとしたサラウンドシステムなら(例えば5.1chの)、まだ使いでがあったが、このAVアンプはお払い箱にするしかないと思う。

ゆくゆくは他の父が持っていたAV機器、例えば東芝製のHDD/DVDレコーダRD-X5なんかも組み入れていきたいが(参考:”父所有の東芝製のHDD/DVDレコーダRD-X5 | 心にうつりゆくよしなしごと“)、これらはアナログ接続に問題がないのでとりあえず考えない。もっともこれには光デジタル出力があるのでそこは利用することも考えられる。ところで、RD-X5の仕様表によれば「TI製高性能音声DAC、それを支える高品位パーツとクロック精度を高めた独立型クロックジェネレータの搭載によって高品質なサウンドを再現します」、とのこと。いわゆるasynchronous DAC、ということ?「音声D/Aコンバータ:192kHz/24bit」というし、自分が持っているPCM2704を採用したUSB DAC(多分48KHz/16bit)よりよっぽど優秀なんじゃ…。

さてこれからのデジタル・コンテンツのソースは以下が考えられる。

  • NAS *(4Kありうる)
  • 地デジ
  • TV自身のスマートTV(例えばAndroid TV)機能によるVODサービス(4Kありうる)
  • TVに接続したAndroidメディアプレーヤーまたはChromecastを通じてアクセスするVODサービス(4Kありうる)←4Kコンテンツを再生するならHDCP 2.2の制約からTVに直結が望ましい

*NAS自身のアプリによるVODサービスへのアクセスは将来的にはありうるし、Asustorがそういう方向に進めたいのは見て取れる。しかし現状では、使い物になりそうなアプリは用意されてない。VODサービスには結局Webブラウザでアクセス、しかもFlash PlayerやSilverlightはインストールされてない、では利用できないサービスが現状では大半。NASにつないだBlu-rayディスク・ドライブで4Kコンテンツを再生することはありうる。

最近の4K TVのスペックを見ると、オーディオ出力については以下が用意されてるのがスタンダードなようだ。

  • 光デジタル出力(”Toslink”や”S/PDIF”と呼ばれている)
  • ライン出力ないしヘッドフォン出力

NASの4KコンテンツをTVで表示することを考えると、HDCP 2.2の制約からこの二者はHDMIケーブルで直結するしかない(HDCP 2.2準拠のオーディオシステムをrepeaterとして挟むことはもちろん可能だが現時点では考えない)。

あとで述べるようにどうしようかと逡巡した(その理由はこの記事の末尾、横線で区切った以下に記す)が、なんのことはない、以下のようにすればいい。オールデジタルでのやりかたに引きずられてしまったが、これはごくごく当たり前のやり方。HDCP 2.2の問題は起きないし、切り替え操作が必要なのはTVの入力端子選択だけなので、わかりやすい(もっともRD-X5などの既存機器も組み込むととたんに崩れるが)。D/A変換がTV筐体内で行われるので雑音が乗る可能性があるが、それの対処法は後で述べる(図3の方法)。

なお、図中Chromecastがあるが、別にChromecastを所有している分けでもなければ、現時点で入手の予定があるわけでもない。4Kコンテンツを供給してくれるソースの一例として挙げたに過ぎない。

アナログオーディオシステムで4Kコンテンツを含むデジタル・コンテンツを楽しむための構成

図2: アナログオーディオシステムで4Kコンテンツを含むデジタル・コンテンツを楽しむための構成

図では “line out” としているがもしRCA端子が用意されているのならもちろんそれでアンプと接続してもよい。今回、デジタル入力端子を一切持たないサンスイのAU-α607DRを前提にしているのでこのようにした。もし光デジタル入力端子を持つものであれば、TV側にもたいがい光デジタル出力端子があるので、これらを繋げばよい。

光デジタルケーブルを用いてTVとオーディオシステムを繋いだ場合の構成は何気に有用かもしれない。オーディオシステムがデジタルであるが、HDCP 2.2には準拠していないような場合、4Kコンテンツを再生しようとする際、図1にあるような構成は取れない。しかし、光デジタルでTVとオーディオシステムを繋げられればデジタルでオーディオデータが転送されるはずである。もちろん、S/PDIFはHDMIでサポートされている全てのオーディオフォーマットをサポートしているわけではないのでDolby TrueHDDTS-HD Master Audioはアウト。ただ、HDMI接続でARCでシンクからオーディオが戻ってくる場合はそもそもオーディオフォーマットが制限されるので、それに比べるなら特に劣るわけではなかろう。

また、もしTVが全く関与しない形で使いたい場合、例えば音楽だけをかけたい場合はUSB DACからアンプに出力しよう。

さて、光デジタル(S/PDIF)の利点は5.1ch, 7.1chのオーディオを(もしソースが持っていれば)伝送できること。今回はやらないが、仮にそういったマルチチャンネルに対応した、しかしアナログ入力のオーディオシステムを利用するのなら、以下のような構成が考えられる。この構成はまた、図1にあるD/A変換をTV内蔵のに依存する方法で望むような音質が得られないような場合にも使える(参考:”価格.com – 『RCA入力しかないホームシアターを繋げたいのです』 SONY BRAVIA KDL-55HX850 [55インチ] のクチコミ掲示板“)。

TVのマルチチャンネルの光デジタルオーディオ出力を利用するなら

図3: TVのマルチチャンネルの光デジタルオーディオ出力を利用するなら

この構成で、光デジタルオーディオ入力をアナログに変換して出力するコンバーターとしては、もしアナログでも5.1chで出力されることが要件ならAC3/DTS Digital Optical Audio To 5.1/2.1 Channel Stereo Analog RCA Converter GD(2,300円ほど)なんかがある。2chでいいならこの記事の終わりの方に例がある。

いずれ大型テレビを入手しようと考えているが、とりあえずはふるさと納税で入手予定ののProLite X3291HSをTV代わりに使うことになる。これには音声出力手段としてヘッドフォン端子しか用意されてない。音声について図1の構成でディスプレイ内蔵のDACでD/A変換させる場合と、NASにつないだUSB DACにさせる場合を比較すれば、図2の構成を取るべきか図1の構成で済むかの見当がつけられるかもしれない。

表示された図の下部中央にマウスカーソルを持っていくとメニュー・バーが表示される。その中のレイヤーボタンを押すと、含まれているレイヤーの表示・非表示が切り替えられる

表示された図の下部中央にマウスカーソルを持っていくとメニュー・バーが表示される。その中のレイヤーボタンを押すと、含まれているレイヤーの表示・非表示が切り替えられる

余談だが、この記事に含めた図はDraw.ioを使って作成した。複数のレイヤーを利用して、異なるセットアップを示す図を作成したのだが、その全体をご覧になりたければこのリンクを手繰ってください。Draw.ioアプリの利用を承諾を求めれ、承諾すると図にあるような表示になります。その下部中央にマウスカーソルを持っていくとメニュー・バーが表示されます。その中のレイヤーボタンを押すと、含まれているレイヤーの表示・非表示が切り替えられます。(自分用:オリジナル)。


さて、こんな当たり前の結論がすぐ出せなかった理由を記す。それは、ARC機能を使ったHDMIケーブルによるシンプルな構成方法に引きずられて、それと基本似通ったやり方で達成しようとしたから。その発想で最初に考えたのが以下。

HDMIケーブルのみでの接続なシンプルなデジタル機器の構成方法にアナログ機器を無理やり組み込もうとした

図4: HDMIケーブルのみでの接続なシンプルなデジタル機器の構成方法にアナログ機器を無理やり組み込もうとした

オーディオを抽出し、光デジタルとアナログで出力可能なARC対応HDMIリピータの一例

オーディオを抽出し、光デジタルとアナログで出力可能なARC対応HDMIリピータの一例

オーディオを抽出し出力可能なARC対応HDMIリピータが存在する。これら製品については結構時間かけて調べた

オーディオ出力は光デジタルだけのことや(例:New HDMI ARC Adapter to HDMI + Optical/Toslink Audio Converter 4K 1080P CEC F7 | eBayHDMI ARC Adapter to HDMI & Optical Audio Converter 4k 3D 1080P CEC Black адаптер | eBay)、アナログだけのこともあるが、双方とも備えているものも多い(図)。AU-α607DRはアナログ入力にしか対応しないので、アナログ出力は必須だが、AU-α607DR以外に光デジタル入力端子を持つミニコンポもあるので、どちらにもオーディオデータを供給できて都合のいい案のように思えた。

しかし、詳しく調べてみると、これら製品は、非ARC状態のときはデジタル、アナログ双方に出力があるものの、ARC状態ではデジタルの出力しかないという。不可思議な仕様だがそうでない製品は見つけられなかった。アナログ入力のみのAU-α607DRが使えることが要件なのでこのままではうまくいかない。

もう一点これら製品について疑問に思うこと:4K対応を謳っているものは本当にHDCP 2.2をdecryptできるのだろうか?Decryptできないとオーディオが抽出できないと思うのだが…???

そこでこの路線をさらに突き進んで(ヤケクソ)、光デジタル出力からD/A変換することを考えた(図5)。

図5: 光デジタルからアナログに変換するコンバーターをさらに挟む

図5: 光デジタルからアナログに変換するコンバーターをさらに挟む

このコンバーターとしては、安いものだとPCMのみに対応した製品が多数見つかる。これを利用するにはソース側でPCMで出力するようしかるべき設定が必要(Kodiについては”PulseAudio – Official Kodi Wiki“)。それでも96KHz/24bitまで対応するようなので、それだけ見ると自分のUSB DACより性能が良い。

使われているDACチップについては記載はまず見られないが、Analog L/R to Digital SPDIF Coaxial Coax RCA & Optical Toslink Audio Converter | eBayCirrus Logic 8416と言っている(上記製品についてもそうだという保証はない)。Amazon.caでの同様(≠同一)製品についてのレビュー中にも同様な記載がある

Dolby/DTS Digital Optical Coax Toslink to Analog R/L RCA Audio Decoder Converter | eBayのようなPCMだけでなく、Dolby Digital、AC-3、DTSに対応するのもあるが、この追加機能は意味あるのだろうか。TVにPCMへの変換をさせても問題ないと素人としては考えるのだが…。

他のS/PDIF出力のある機器も合わせて利用することを考えるのなら、以下のスイッチも兼ねた製品が考えられる(どちらも2,100円ほど)。

しかしここで図2の方がよほど簡単で確実(HDCP 2.2に関して)ということに気づいた。「昔」の発想なら図2が最初に出てくるはずだが、HDMI+ARCの利便性に引きずられてしまった。

けちけちホームシアターシステムの構築法」への3件のフィードバック

  1. ピンバック: ARC機能・音声抽出機能付きHDMIセレクターやリピータ | あくまで暫定措置としてのブログ
  2. ピンバック: 結局Chromecast (v2, あるいは2015)を購入 | あくまで暫定措置としてのブログ
  3. ピンバック: Chromecastについて知っておきたいこと | あくまで暫定措置としてのブログ

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